BIM(ビム)とは?建築ビジネスでの活用法と3つのメリットを紹介
BIMの歴史
2021.08.22

BIMwork
BIMとは、「Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)」の略語であり、建築物の3Dモデルを作成して基本情報をデータベース化して活用する手法のことです。このBIMの歴史について知っている方はどれくらいいるのでしょうか?なかには「BIMソフトウェアを活用できるけど知らない」という方もいるはずです。
そこで今回は、BIMの歴史と、BIMに関連する概念の歴史について解説していきます。最後までご覧になることで、BIMをさらに深くまで理解できるでしょう。
目次
BIMの歴史
1970年代の初めごろ「Applied Research of Cambridge Limited(ARC社)」という企業によって、オックスフォード地方保健局のプロジェクトでBIMの概念を持ったCADが開発されました。このARC社は、マーティンセンター(ケンブリッジ大学建築学部研究室)の「エド・ホスキンス氏」が1969年にスピンオフとして設立した会社です。
1970年の初めにBIMの概念であるCADが開発されたあとの1970年後半、ARC社は病院設計に特化したCADの製品化を始めました。また、当初「BDS」と呼ばれるCADシステムは、「GDS」と呼ばれるシステムに進化を遂げました。さらにその後、ARC社はGDSの活用範囲を建築土木分野から地理情報分野に拡大を行います。
日本国内におけるBIMの年表
日本国内にBIMの概念が輸入されたのは意外と最近です。以下の年表をご覧になることで、BIMがまだ新しいソフトウェアであるということが理解できるでしょう。
• 2007年:アメリカのBIMガイドライン公表に伴い「BIM」の概念が日本に輸入される
• 2009年:BIMに関連する書籍が発売されるとともに、一部でBIMの導入が活発になり「日本におけるBIM元年」と呼ばれる
• 2010年:国土交通省が「官庁営繕事業におけるBIM導入プロジェクト」を開始し、BIMを用いた設計の試行を始める
• 2014年:国土交通省が「官庁営繕事業におけるBIMモデルの作成及び利用に関するガイドライン」を公表し、BIMの定義や運用を明確化する
このように、BIMが日本国内に輸入されたのは2007年からであり、これまでに数々の進行を続けてきました。しかし、世界各地に比べて日本のBIM普及率は大幅に後れています。
いまはまだ黎明期で不完全な部分が多い日本の建築業界ですが、今後これらの改善や海外展開が予想されているため、これからの建設業界に期待が持たれています。
BIMに関連する概念の歴史
BIMの歴史については大まかに理解できたでしょうか?続いて、BIMに関連する概念の歴史を解説します。BIMとのつながりを詳しく理解できるはずです。
OXSYS(オクシス)
1970年代、ARC社は「OXSYS」を開発しました。オックスフォード地域保健当局向けのプロジェクトでOXSYSは開発され、このOXSYSは現在でいうところのCADソフトウェアであり、BIMの概念を持ちます。
なお、このプロジェクトはオックスフォード地方保健局向けに行われた、大規模な医療施設の設計や施工、データ管理などの工程における、建築物の3Dモデルと関連の属性データ、図面データを連携するためのCADを開発するものでした。
BDS(ビーディーエス)
「BDS」とは、「Building Design System」の略称であり、OXSYSから病院設計専用の構成要素を削除したものです。
データベース機能を持った汎用CADとして優秀なシステムではあったものの、一般的な設計作業に活用しにくいというデメリットがありました。そのほかのデメリットとしては、コンポーネントの自動組み立てができない、3Dモデルの詳細編集を行えないなどがあげられます。
GDS(ジーディーエス)
「GDS」とは、BDSの制限事項を補って進化させたシステムのことです。「General Drafting System」の頭文字を取ってGDSと呼ばれます。
GDSが考え出された当初は2Dの図面を表現するシステムでしたが、のちに2Dの形状に高さ方向の値を付与することで、3Dモデルを構築する手法が確立されました。それによって、立体的な3Dモデルや3Dパーツを描くことが可能になったのです。
また、このGDSは現況図や立面図、平面図といった複数の図面を活用できるため、建設以外の分野でも幅広く利用されていました。
まとめ
本記事では、BIMの歴史、BIMに関連する概念の歴史について解説しました。
1970年代の初めごろ、「Applied Research of Cambridge Limited(ARC社)」という企業によってBIMの概念を持つCADが開発されました。その後、いくつかの進化を重ねてGDSの活用範囲を建築土木分野から地理情報分野へ拡大しました。
日本国内にBIMの概念が輸入されたのは意外と最近であり、海外に比べて日本のBIM普及率はあまり高くありません。しかし、建設業界の海外展開が予想されていることで、これからの建設業界に期待が持たれています。時代に取り残されないためにも、いまからBIMの導入を検討してみてください。