BIM(ビム)とは?建築ビジネスでの活用法と3つのメリットを紹介
建築業界のDXが注目される理由
2021.08.22

BIMwork
近年、日本の建築業界ではDX(デジタルトランスフォーメーション)が重要視されています。このDXとは、デジタル技術を活用した大規模な変革を意味するものであり、経済産業省からも注目されている概念です。
そこで今回は、このDXと建築業界の事情について詳しく解説していきます。建築業界が注目する理由とDXによって解決できる課題を理解できるでしょう。
建築業界におけるDXとは?
DXとは、デジタル技術を活用した大規模な変革のことを意味します。これはスウェーデンの大学教授である「エリック・ストルターマン氏」が2004年に提唱した概念です。
経済産業省もDXの導入を推進しており、建築業界だけでなくあらゆる業界が注目しています。経済産業省は2018年に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)」を発表しており、DXを以下のように定義しています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
つまり、このDXを建築業界にあてはめると、「デジタル技術を用いて建設プロジェクトの業務を効率化させ、新しい手法を確立する」ということになります。なお、建設業界では建設とデジタル技術をかけ合わせたものを「ConTech(コンテック)」と呼んでいます。
(出典 Geekly https://www.geekly.co.jp/column/cat-technology/contech-company/)
建築業界のDXが注目される理由
建築業界のDXが注目される1つの理由として、新型コロナウイルスで働き方が変化していることだと考えられます。いままでもDXに対する注目はあったものの、そこまで過度なものではありませんでした。
しかし、世界中で感染拡大している新型コロナウイルスの影響を受け、あらゆる業界がビジネスのDX化を進めました。それに伴いあらゆる業界の働き方が変化したことにより、これまでビジネスのオンライン化が不要であった建築業界でも働き方が見直されているのです。
ほかにも、経済産業省が危惧している「2025年の壁」も注目される理由としてあげられます。「2025年の壁」とは「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」において、DXによる課題を解決できない場合に経済損失が生じる可能性を危惧したものです。また、DXが推進されなければ各業界におけるシステムのブラックボックス化が起こることも指摘しています。建設業界がそうならないためにも、DXを早めに導入して対策していかなければなりません。
(出典 経済産業省
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html)
日本の建築業界に押し寄せるDXの命題
前項で解説したように、建設業界の多くがDX推進を始めているように思えます。しかし、経済産業省が公表した「DX銘柄2020」では、DXを導入している対象企業約3,700社から選定された35社のうち、建築業界にあたる企業はたったの2つしかありませんでした。このことから、ほか企業に対して建築業界におけるDX化が後れているといえます。
また、国土交通省が発表した「国民経済社会の動向」によると、今後の建築業界は人口減少によって担い手確保が困難になると予想されています。こうした課題に建設業界全体で向き合っていかなければなりませんが、体力や費用面を考慮すると難しいのが現状です。
DXによって解決される建築業界の課題
ここまで、建築業界に押し寄せるDXの命題について解説しました。最後に、DXによって解決される建築業界の課題をお話します。建築業界の明るい未来を目指すためにも、課題に対する解決策を明確にしましょう。
業務の効率化
DXによって解決される課題1つ目は業務の効率化です。建築業界は多重請負構造になっていることもあり、ノウハウをテンプレート化して業務を効率化することは困難です。また、業界的に「システムに頼ってはいけない」という概念を持つ作業員が多いことから、業務の効率化があまり進みません。
そこで、DXを導入すれば業務の最適化が図れます。DXを活用してプロジェクトの情報を検証・統合することにより、自然と最適手段が可視化されます。このように、情報のブラックボックス化が解消されれば、業務効率化の課題は解決される可能性が高いでしょう。
人材不足・人材育成
人材不足や人材教育の課題もDXによって解決されると考えられます。建築業界の業務は人力で行われることが多いため、どうしても作業する人手が必要となります。
また、建築業界における就業者の高齢化が進んでいることもあり、若年層の求職者が減少しています。これは就業者1人ひとりの負担が大きく、「きつい」「きたない」「危険」の3Kといわれるイメージが定着しているためだと考えられます。
上記のように、建設業界には人材不足と人材育成の課題を抱えています。しかし、これらの課題はDXにおける業務の自動化によって解決される可能性があります。DXにより従来の2D図面の作成や干渉チェックなどを自動化すれば、業務に必要となる人手を減少させることが可能です。また、BIMソフトウェアを活用してわかりやすい3Dモデルを作成することで、現場作業でさえも効率化できるでしょう。
まとめ
本記事では、建築業界が注目される理由、DXによって解決される課題について解説しました。
DXとはデジタル技術を活用した大規模な変革のことであり、建築業界にあてはめると「デジタル技術を用いて建設プロジェクトの業務を効率化させる」ということになります。このDXは建築業界だけでなく、あらゆる業界から注目されている概念です。
本記事で解説したように、いま抱えている建設業界の課題はDXによって解決できる可能性があるため、できるだけ早くDXを推進する必要があります。ぜひ本記事を参考にして建設業界のDX化を進めていきましょう。