BIM(ビム)とは?建築ビジネスでの活用法と3つのメリットを紹介
BIMのメリット&デメリットを現役BIMオペレーターが解説
2023.02.02

BIMwork
BIMに興味があり、自社に導入するか迷っている方必見!BIMは、建築物を3Dモデル化し、データベース化することで設計や管理の効率化を実現する手法です。この記事では、BIMのメリットとデメリットを徹底的に解説。
最後まで読めば、自社に導入すべきかの正しい判断ができます。今すぐチェックして、自社のビジネスアップにつなげましょう!
BIMとは?
BIMとは、コンピューター上に建築物の3Dモデルを作成し、設備設計や機械設定などの基本情報をデータベース化して活用する手法のことです。「Building(建物を)Information(情報で)Modeling(形成する)」の頭文字を取って「BIM」と呼びます。
コンピューター上に建築物の3Dモデルを作成することにより、施工から維持管理、避難計画といった細かい情報をシミュレーションできます。「図面や表等のデータを結合して建築物を完成させる」という従来の設計方法から、「1つの結合データベースから1つの建築物を作る」という方法に変化しました。
なお、BIMの導入については国土交通省も推進しています。国土交通省はBIMの効果を検証するため、平成22年の官庁営繕事業における3つの事業でBIMを試験的に導入しました。その結果を取りまとめたものが「官庁営繕事業におけるBIMモデルの作製及び利用に関するガイドライン」として、平成26年に公表されました。

世界のBIM普及率は約80%と推定され、中堅企業(16~50人)、大企業(51人以上)の普及率はそれぞれ80%、78%と最も高いです[1][2]。小規模な企業の導入率は3分の2と低く[2]、BIMを使用する英国の建設専門家は2011年の13%から2020年には73%に上昇すると予想しています[3]。
日本の専門家のBIM導入率は54%です[3]。BIMの世界的な成長率は今後も上昇し続けることが予想されます[4]。
[1]https://agacad.com/blog/global-bim-survey-u-s-market-is-maturing-as-advances-wake-imaginations
[2]https://www.geospatialworld.net/article/bim-adoption-around-the-world-how-good-are-we
[3]https://business.bimobject.com/blog/statistics-proving-bim-means-business
[4]https://www.oneistox.com/blog/bim-global-growth-rate
CADとの違い
従来のCADは主に平面である2Dの図面を作成します。もしCADで3Dモデルを設計したい場合は最初に2Dの平面図を作成したのち、2D図面をもとに3Dモデルを作成する必要があります。そのため、CADで3Dモデルの設計図を作成する際は時間を要してしまいます。さらに設計者の技術に依存することから、属人的になりやすいという課題を抱えています。
一方、BIMでは最初から3Dモデルを作成することが可能です。3Dの各パーツを直接組み合わせることにより、3Dモデルの図面作成が非常にスムーズです。また、BIMであれば3Dモデルと2Dモデルが連動しているため、3Dから2Dへの切り替えが容易に行えます。

BIMを導入する3つのメリット
ここまで、BIMの基礎概要とCADの違いについて解説しました。続いてBIMを導入するメリットを3つみていきましょう。以下のメリットを知ることで、自社にBIMを導入すべきか判断できるはずです。
設計や管理の手間を省ける
またBIMは図面のデータ修正だけでなく、資材の再調達やスケジュール管理による手戻りを防止できます。これらのことから、BIMを導入すれば設計や管理の省略可につながるはずです。
BIMを導入するメリット1つ目は、設計や管理の手間を省けることです。BIMの3Dモデルには構造設計や設備設計などの情報が含まれており、コンピューター上ですべてのデータが連動しています。そのため仮に1箇所だけデータ修正をした場合、連動しているすべてのデータが自動的に修正されます。
建設前のプロジェクトの可視化
BIMによる可視化のメリットとしては、現場でのコラボレーションやコミュニケーションの向上、モデルベースのコスト見積もり、プレコンにおけるプロジェクトの可視化、建設プロジェクトのレイアウトや空間の相互関係の理解、設計チーム、クライアント、関係者の設計プロセスの改善、コスト削減と効率化、コミュニケーションの改善と建物の品質向上、関係者のリアルな可視化によるプロジェクトの明確化、などが挙げられます。[5]
[5] https://bim360resources.autodesk.com/connect-construct/top-10-benefits-of-bim-in-construction
高品質のアウトプット
BIMは、作業完了時間の短縮、ミスの発生数の削減、プレハブ材を使用する箇所の特定によるコスト削減などのアウトプットの改善のほか、コスト削減と効率の向上、コミュニケーションの改善と建物の品質向上、異なる材料の費用対効果の比較による費用の最適化、建築プロジェクトのあらゆるレベルの強化、建築物の照明要素の検出向上のために利用できるBIMデータの活用などが期待できます。

BIMを導入する2つのデメリット
BIMを導入するメリットは理解できたでしょうか?次に、反対のデメリットについて解説していきます。メリット・デメリットの両方を理解することで、BIMの必要性がより明確になるはずです。
高価なモデリングソフトウェアと初期投資
BIMの導入にはコストがかかります。VectorWorksとArchiCADは、ソフトウェアライセンス料が4,500ドル以下、オートデスクのRevit 2023は、3年プランが8,025ドル、年間プランが2,675ドルという価格設定があります。
ただしいずれのソフトウェアも月額サブスクリプションでの購入が可能なので、1ヶ月、1ライセンスから始めることも可能です。
おおよその目安として、50,000円/人・月くらいの費用となります。
また、BIMを有効的に活用するためには、専門知識を持った優秀なオペレータが必要不可欠です。オペレータの採用コストや育成コストなども発生することから、BIMの導入には一定の初期コストが懸念されます。
現場で利用できない場合がある
BIMを導入するデメリット2つ目は、現場で利用できない場合があることです。BIMの3Dモデルはデータ容量が非常に大きく、ダウンロードする際に時間を要することがあります。また、パソコンのスペックが低ければ、3Dモデルの確認動作が重くなる可能性も考えられます。
さらに土木分野との連携が遅れていることから、有効的に活用できない場面が少なからずあります。このように「BIMを導入したのに現場でうまく利用できない」といったデメリットが考えられます。
まとめ
BIMはコンピューター上に建築物の3Dモデルを作成し、建築物の基本情報をデータベース化して活用する手法であり、日本での普及率は少しずつ向上しています。このBIMを導入することにより、「設計や管理の手間を省ける」「イメージを共有しやすい」「法律上の制限を可視化できる」といった、3つのメリットが考えられます。
しかし、いくつかのデメリットも存在するため、両方をしっかり理解した上で検討しなければなりません。ぜひ本記事を参考にして、BIMの理解を深めて検討してみてください。
↓こちらも参考にどうぞ!