BIM(ビム)とは?建築ビジネスでの活用法と3つのメリットを紹介
デジタルツインで何ができる?メリットと活用事例
2021.08.22

BIMwork
製造業や建築業界を中心に聞かれるようになった言葉の一つに、デジタルツインがあります。
今回は、デジタルツインとは一体どのようなものなのか、基礎知識と活用するメリットについて解説していきます。
デジタルツインとは一体何か?
デジタルツインとは、工場やビル、商業施設といった現実にある場所をデジタル空間としてまったく同じに再現する技術のことです。再現といっても、例えば縮尺した模型のように単に似たような空間を作るわけではありません。AIやIoT、ARなどの技術を利用し、そのままの情報をリアルタイムで送信しながら仮想上の環境として再現するというものです。現実にある空間を細部に至るまでデジタルで再現することから、デジタルツイン(デジタルの双子)という呼び名が使われています。
(出典 鹿島建設 https://www.sbbit.jp/article/cont1/58767)
BIMとデジタルツインはどう違う?
BIMは、Building Information Modeling(ビルディング インフォメーション モデリング)を略した言葉で、建物などさまざまな工作物をコンピューター上で作り上げていくことです。3次元での完成イメージはもちろん、平面図や立面図といった2次元の図面まで作成することができます。さらに、それぞれの箇所で使われる部材についても寸法や数量、価格、さらに品番や強度などの機能性といった情報まで詳細にデータとして加えることが可能です。BIMは、主にこれから新たに建設する工作物の設計に利用される技術のことを指します。
これまで、建築業界では工作物の設計をする際、2次元の図面を起こしてから3次元での完成予想図を作成するといった流れが一般的でした。修正や変更が必要になれば、その都度2次元の図面から手直しを行うという手間がかかりましたが、BIMは3次元データの修正を行うだけで2次元の図面まですべて反映されます。そのため、従来の設計段階でかかっていた時間を大幅に短縮できるのが大きなメリットです。
一方、デジタルツインはコンピューター上で作る空間といっても、すでに実在している物をもとに再現するという点が違います。ただし、デジタルツインはBIMの技術を利用してモデル化を行うことも可能です。実際に鹿島建設が2020年5月に「オービック御堂筋ビル新築工事(大阪市中央区)」のすべてのフェーズにおいてBIMでのデジタルツイン化が実現できたことを発表しています。
デジタルツインのメリットと活用事例
では、実際にどのような場面でデジタルツインを利用できるのか、具体的な活用例とメリットを紹介していきます。
デジタルツインを活用するメリット
デジタルツインは、IoTで情報を収集して送信し、そのデータをAIが分析することで、実在する製品や工作物をリアルタイムで仮想空間上に再現できます。現実の空間と仮想空間が連動しているため、現場で起こっていることをリアルに察知できるのが大きなメリットです。例えば、機械部品の劣化で故障が起こったとしましょう。従来であれば、まず故障の原因を作業員が直接現場で確認するという作業が必要になります。
しかし、デジタルツインなら、手作業で確認する手間が省ける点がメリットの一つとしてあげられます。これは、部品の劣化や消耗についても仮想空間で再現されるためです。つまり、点検作業が仮想空間上で可能になることから、時間の短縮はもちろん、遠隔地での確認もできるようになります。結果としてコストの削減にもつながる点もメリットといえるでしょう。実際の環境がリアルタイムで再現されるため、例えば、ビルや商業施設など大規模な建築物を引き渡した後の品質管理やメンテナンスに活用できるのもメリットです。
また、リアルな環境での仮想空間を作れるため、実際に導入する前にシミュレーションできるのもメリットにあげられます。大規模な空間や離れた場所の場合、実際にその場でシミュレーションを行うのは大変な作業と時間をともないます。しかし、仮想空間上で行えば時間もコストも節約できるうえに、安全性も配慮される点は大きなメリットです。人が赴くのは難しい場所でも実際と同じ条件でシミュレーションできるため、導入してからの誤差も最小限にとどめることが可能になります。デジタルツインは、製造業や建築業界などさまざまな分野で活用できる、将来性のある技術といえるでしょう。
ゼネラルエレクトリックの活用事例
ゼネラルエレクトリックでは、風力発電のインフラにデジタルツインを活用しています。風車の劣化予測や寿命のような目視が難しい部分においてシミュレーションを実施し、風向きに合わせながら発電量の最大化を実現しています。また、海洋風車の場合は確認作業が容易ではないため、不具合が起こる前に察知できることが理想的です。ゼネラルエレクトリックはデジタルツインの活用で情報をリアルタイムで分析し、適切なタイミングでのモーター交換を可能にしています。
(出典 GE Reports https://www.gereports.jp/mission-critical-ges-new-digital-center-atlanta-using-data-power-plants-spot-trouble-save-money/)
シンガポールの活用事例
シンガポールが国をあげて取り組んでいるのが「バーチャルシンガポール」です。これは、都市そのものを仮想空間で再現するもので、それによってインフラの整備など暮らしやすい街づくりを実現するという狙いがあります。例えば、他の国では懸念されそうなシステムでも、仮想空間なら気軽に試すことができますし、リアルと同じ状況で実験を行うことが可能です。利便性や安全性が認められれば、実際の街づくりに反映されるため、失敗を気にせずに試せるというユニークな事例ですよね。
(出典 Youtube“TODAYonline”チャンネル )
デジタルツインの活用で安全で便利な暮らしを可能に
デジタルツインは、現実世界をリアルタイムで仮想空間上に再現できます。デジタルツインを活用することで、より便利な暮らしを可能にできるでしょう。