BIM(ビム)とは?建築ビジネスでの活用法と3つのメリットを紹介
押さえておきたい!国土交通省が推進するi-Constructionとは
2021.08.22

BIMwork
国土交通省が推進する国家プロジェクトとして「i-Construction」があります。これに大きくかかわっているのが、建築業界で注目のBIM技術です。
この記事では、BIM技術をはじめ、「i-Construction」について解説していきます。
建設業界でICTを推進する理由とは
国土交通省では国家プロジェクトとして「i-Construction」を掲げています。これは建設業界にICTを導入・活用しようというものです。ICTとは「Information and Communication Technology」(インフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジー)の略で、意味は「情報通信技術」です。これを建設業界に導入することで、測量から施工、検査までをデジタル技術で効率化しようというものです。
では、どうして建設業界にICTを導入・活用しようとしているのでしょうか。その理由の1つ目は、労働人口が少なくなっているからです。少子高齢化によって、建設業界に限らずどの業界でも労働人口が減っています。さらに、建設業界は重労働であるため、働きたいと希望する若手が減っているのです。このままでは建設業界の生産性が落ちてしまいます。そこで、必要とされるのが業務のハイテク化です。ハイテク化することによって、熟練の技術者が行う仕事を機械が代替で行ってくれます。また、重労働もハイテク化することで働き手の負担が減ります。このように若手が働きやすい環境にすることで、建設業界に優秀な人材が入ってくるようになるのです。
ICTを推進する2つ目の理由が生産性の向上です。建設業界は長い間、生産力が伸び悩んでいました。というのも、建設業界の大半を占める中小企業が足並みをそろえることが難しかったからです。そのため、ICTを導入・活用し、生産性を高めることが求められています。国土交通省がi-Constructionを提唱してから、建設業界ではICTの導入・活用が増加しています。今後もその勢いは加速するでしょう。
しかし、ICTの導入・活用を推進するために課題もあります。1つ目の課題がICT人材の確保です。そもそもデジタル化が遅れていた業界であるため、ICTを活用できる人材が少ないのです。いかに人材を確保していくか、そして、今後のために育成していくかが重要になっています。2つ目の課題がICTへの反発が強いことです。そもそもICTとは何なのか、業界全体に浸透していません。そのため、ICTを活用すると、どうして仕事が効率化するのかがわからず、社内で拒否反応を示してしまう人が多いのです。ICTを導入するためには一般社員にもICTのメリットを理解してもらうことが重要になります。3つ目の課題が、ネットワーク環境が整備されていないことです。前述の通り、建設業界はデジタル化が遅れていたため、ICTを推し進める上で必要なパソコンのスペックや回線が整っていません。
(出典 国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001149595.pdf)
i-Constructionに大きく関与するBIMとは
ICTの導入と活用を促進しているi-Constructionに大きく関与しているのが「BIM」です。BIMとは「Building Information Modeling」(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の略です。BIMを活用すれば、設計図からコンピーター上に3Dのモデルを構築することができます。
BIMを導入することによって得られるメリットは主に2つあります。1つ目は、意思決定の迅速化です。BIMによって、2次元の設計図が正確に3D化されます。しかも、建物のディテールまで正確に再現することができるのです。線だけで描かれた設計図では、どのような建築物が完成するのか、熟練の技術者でないと正確に把握することはできませんでした。多くの関係者に正確に建築物の概要を伝えるには多くの説明や時間を費やしたのです。しかし、3Dであれば、見ただけですぐにどのような建築物なのかがわかります。そのため、関係者もすばやく判断を下すことができるのです。
建設関係者だけではありません。新たに建物を建てようとする場合、その周辺に住む人たちに理解を求めることも少なくありません。その際、建築物の設計図を見せても、どのようなものなのか、よく理解してもらえませんでした。しかし、3Dであれば、いったいどういうものなのか、一目でわかります。そのため、地域住民の理解も得やすくなったのです。
2つ目は業務の効率化です。BIMは全てのデータが連携しています。通常は平面図、立体図、断面図、パース、面積表など、どこか1カ所を修正すると、関連する箇所を一つひとつ修正していかなくてはなりませんでした。ところが、BIMは全てのデータが連動しているため、1カ所修正したら、関連する箇所も自動的に修正されてしまうのです。そのため、修正する時間や手間を大幅に減らすことができるようになりました。また、関連箇所を修正したつもりが修正されておらず、いざ建設の段階になって、トラブルが生じてしまったなどというリスクも軽減することができます。
このようにメリットの多いBIMですが、導入のための初期費用がかかることが課題です。建設業界を支えているのは中小企業になります。しかし、資本力のない中小企業ではBIM導入したくても厳しいものがあります。国土交通省が中小企業に対してどのように支援するかが、BIM導入推進のポイントになるでしょう。また、BIMは新しい技術のため、活用できる人材が少ないという問題もあるのです。とはいえ、BIMはi-Constructionを推進する上で欠かせません。今後の国土交通省の取り組みが期待されます。
(出典 国土交通省 https://www.mlit.go.jp/common/001149595.pdf)
建設業界にとって重要な鍵となるi-Constructionに注目しよう
国土交通省が推進する「i-Construction」は、今後の建設業界の行方を左右する重要な鍵となるでしょう。ますます注目が集まります。