BIM(ビム)とは?建築ビジネスでの活用法と3つのメリットを紹介
CADvsBIM 徹底比較
2023.02.03

BIMwork
建築業界で最も注目されているトピック、BIM。これは、建築会社が少しずつ導入を始めたためです。従来のCADからBIMへと変わることで、建物のモデリングに多くのメリットが期待できます。
この記事では、CADとBIMを比較することで、BIMの重要性を深く理解することができます。これから建築業界を牽引するのはBIMなのかもしれません。
BIMとは?
BIM (Building Information Modeling)は、建築物の設計、建設、運用に関する情報をデジタルモデルによって管理する技術です。BIMは、建築物に関連する様々な情報(設計図、材料データ、コスト情報など)を一元管理することで、効率的な建設のプロセスを実現します。
同時に国土交通省もBIMの導入を推進しており、効果を実証するための試験的導入を数度にわたって行っています。また、試験の結果をまとめた「官庁営繕事業におけるBIMモデルの作製及び利用に関するガイドライン」を平成26年に公表しています。
【比較】BIMとCADの違い
BIMのメリット
・ビルド前に建物のシミュレーションを行い、問題点を予測・修正することができます。
・配管、配電、換気などのシステムを含めた詳細なモデルを作成することができます。
・建設と運用のライフサイクル全体にわたってデータを管理することができます。
BIMのデメリット
・導入にはCADとくらべて高額なコストがかかります。
・学習コストが高く、技術者を必要とするため導入に時間がかかります。
・ファイル形式が業界標準化されていないため、他社とのデータ共有が困難な場合があります。
CADのメリット
・導入・学習コストが低いため、手軽に導入することができます。
・長年使用されているため、技術者の豊富な人材が存在します。
・シンプルなデータであるため多くのツールやアプリケーションが利用可能であり、幅広い用途に対応することができます。
CADのデメリット
・現実世界で3Dで建設される建築物を2Dで検討するため、アウトプットのクオリティが低い場合があります。
・システムの整合性が低いため、問題点が発生しにくいものを見逃す可能性があります。
・建設と運用のライフサイクル全体にわたってデータを管理することができない場合があります。
BIMのメリットとデメリット深掘り
BIMは、建築業界において多くのメリットを持つものです。
このテクノロジーは、建築物に関連する様々な情報を一元管理することができるとともに、設計から工事までの作業を効率的に行うことができるというメリットをもたらします。以下に、BIMのメリットについて詳しく説明します。
情報の統合: BIMは、建築物に関連する様々な情報(設計図、材料データ、コスト情報など)を一元管理することができます。これにより、建築物のライフサイクル全体において情報が効率的に共有され、同じ情報を繰り返し作成することがなくなります。これは、プロジェクトのスムーズな進行に大きく寄与することでしょう。
設計の修正: BIMによって作られたデジタルモデルは、設計段階から工事現場までの作業において修正が容易に行えます。これにより、設計の修正に要する時間やコストが削減されます。また、設計修正作業を行う際に生じるコミュニケーションミスも防ぐことができます。
効率的な工事: BIMによって作られたデジタルモデルを利用することで、工事現場での効率的な施工が実現されます。また、デジタルモデルに含まれる情報を元に、工事現場での誤りや問題点を未然に防ぐことができます。これにより、工事のスケジュールや予算の管理がより効率的になります。
しかしBIMにはデメリットもあります。
BIMに関しては、関係者の間で理解に大きな差が生じることがあります。BIMに関わる技術やプロセスは、それらに精通していない人にとっては理解するのが難しいため、適切なトレーニングや教育が不可欠となります。特に、従来のCAD技術で訓練を受けてきた高齢の作業員にとっては、難しいことかもしれません。
BIMのもう一つの問題は、その技術を導入するために必要な投資コストの高さです。BIMソフトウェアの購入費用だけでなく、技術サポートやアップグレードに関連する継続的なコストも発生します。特に、BIMに投資するリソースがない中小企業では、これらのコストはすぐに膨らんでしまいます。
もう一つの重要な考慮点は、BIMを使いこなすために必要な時間とスキルです。従来のCADとは異なり、BIMでは作業者が新しい技術やプロセスを学ぶ必要があるため、時間がかかり、多大なトレーニングが必要になる可能性があります。さらに、作業員には、これまでとは異なる新しい仕事のやり方に適応する能力が必要になります。
最後に、フォーマットの標準化の問題があります。BIMは広く使われている技術ですが、まだ標準化されていない様々なフォーマットが存在します。そのため、異なるソフトウェアシステム間で互換性の問題が発生し、ユーザーにとって大きな課題となる可能性があります。
結論として、BIMは建設・設計業界に革命をもたらす可能性がある一方で、その導入に伴う課題を認識することが重要です。
BIMのフリーソフト
CADとBIMの違いは理解できたでしょうか?続いて、BIMのフリーソフトについて解説していきます。
現状、実務レベルで活用できる日本語対応のBIMフリーソフトはありません。BIMのソフトウェアは高度な技術が用いられているため、無料で提供されているものが少ないのです。また、BIMは新しい部類のソフトウェアであることから、導入コストが高くなりやすい傾向にあります。
とはいえ、無料体験版として一定期間のみフリーで使用できるソフトウェアも存在します。「BIMを1度試してみたい」という方は無料体験版の利用を検討してみてください。なお、BIMのソフトウェアによっては学生版ライセンスというものもあります。学生期間中に限り無料で使用できるため、学生であればぜひ試してみてください。
BIMは基本的に高額なソフトウェアです。BIMの使用感や操作感を理解するためにも、まずは無料体験版や学生版ライセンスで試してみることをおすすめします。
BIMの主要ソフトを比較
BIMは無料体験版のソフトウェアが一部あるものの、フリーソフトはほとんど存在しないことを解説しました。最後にBIMの主要ソフトを比較検討していきましょう。自身にピッタリのBIMをみつけるためにも、ぜひ確認してみてください。
REVIT(AUTODESK REVIT)
「Revit」はアメリカの「オートデスク株式会社」が開発したBIMソフトウェアであり、数あるソフトウェアのなかで最も高いシェア率を誇ります。
Revitを使用すれば複雑な3Dモデルの作成はもちろん、高度なシミュレーション、パフォーマンス最適の解析などが可能です。また、ワークシェアリングを用いればリアルタイムで複数人の同時作業が行えるため、チーム全体で取り組むようなプロジェクトに向いています。
• 3年ごとのお支払い:1,050,000円(税別)
• 1年ごとのお支払い:389,000円(税別)
• 1ヶ月ごとのお支払い:49,000円(税別)
ARCHICAD
「ARCHICAD」は直感的に操作しやすいBIMのソフトウェアです。直感的に操作できることから専門技術をあまり必要とせず、複雑な形状を簡単に作成できます。
また、Revitと同じように1つの案件を複数名で共同作業することが可能であり、タブレット端末からの確認や「Google Cardboard」に対応した端末からのVR体験も行えます。これらのことより、「ARCHICAD」は使いやすさにフォーカスしたBIMソフトウェアだといえるでしょう。
• ARCHICAD:840,000円(税別)
• ARCHICAD Solo:345,000円(税別)
GLOOBE
「GLOOBE」は、日本の設計手法や建築基準法に対応した日本発のBIMソフトウェアです。自由度の高いデザイン機能やチーム設計に対応しており、日本国内の設計に最適化されたシステムを扱えます。
そのほかにも3Dモデルと背景写真を合成できたり、機能やモバイルデータの共有が可能であったりなど、「GLOOBE」では多彩な機能を用いることができます。
• GLOOBE Architect 基本:650,000円(税別)
Vectorworks
「Vectorworks」は「米Nemetschek Vectorworks社」が開発し、日本では「エーアンドエー株式会社」が販売しているCADソフトウェアとなります。
「Vectorworks」では2Dで作成した図面を持ち上げて3Dモデルにそのまま組み換えられるほか、3Dモデルの形状をひねったり曲げたりするツールが搭載されています。製品のラインアップは大きく分けて5種類に分類されており、自身のデザインスキルや目的に合わせて製品を選ぶことが可能です。
• Vectorworks Designer:527,000円(税別)
• Vectorworks Architect:416,000円(税別)
• Vectorworks Landmark:416,000円(税別)
• Vectorworks Spotlight:416,000円(税別)
• Vectorworks Fundamentals:305,000円(税別)
まとめ
本記事では、従来のCADとBIMの比較、BIMの主要ソフトの金額について解説しました。
BIMとはコンピューター上で3Dの建築モデルを作成する仕組みのことであり、2Dの平面図がそれぞれ独立しているCADとは大きく異なります。また、CADは2Dモデルから3Dモデルに組み替える作業が必要である一方、BIMでは最初から3Dモデルを作成できるため2Dモデルは自動生成されます。
これからBIMソフトウェアの導入を検討している方は、ぜひ従来のCADとBIMの違いを理解し、自社にとっての有用性を確認してみてください。また、本記事で紹介したBIMの主要ツールをご参照いただければ幸いです。
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