BIM(ビム)とは?建築ビジネスでの活用法と3つのメリットを紹介
建築の現場で重宝されているBIMとは?CIMとの違いについても解説
2021.08.22

BIMwork
BIMとは欧米で広まり、日本でも徐々に建築の現場で使われるようになってきているソフトウェアです。これから建築業界で設計の仕事をしたい人なら特に、押さえておきたい知識だといえるでしょう。BIMのソフトウェアにはさまざまな機能が備わっているだけでなく、完成イメージを関係者の間で共有するためにも非常に便利です。
この記事では、BIMを導入するメリットやCIMとの違いを解説していきます。
目次
BIMとは3次元で設計図を作る技術!その魅力を解説
そもそもBIMとは「Building Information Modeling」の略で、直は「建築物情報の設計」です。3次元で建造物をモデリングする技術や、そのためのソフトウェアを指す言葉です。この段落では、BIMの概要や魅力を解説します。
3Dモデルを作り上げる
コンピューター上で建造物の3Dモデルを作り上げ、スタッフやクライアントと共有するのがBIMの特徴です。専用のソフトウェアやシステムを利用することにより、BIMは実践可能となります。企業が保有している資材や機材などをデータベース化し、システム上で作業と紐づけていくことで3Dモデルは完成します。BIMはもともとアメリカで提唱されるようになり、ソフトウェアの登場で徐々に実用化されていきました。
一方で、令和3年時点の日本は欧米やアジアの新興国ほどBIMに対応できているとはいえません。ただし、「Revit」「ArchiCAD」「GLOOBE」といったソフトウェアは日本でも知られています。また、平成26年3月には国土交通省がBIM導入に役立つ「官庁営繕事業におけるBIMモデルの作製及び利用に関するガイドライン」を制定しました。段階的ではあるものの、日本でもBIMの認知度は高まりつつあります。
完成イメージを共有しやすいBIM
BIMが評価されるようになったのは、完成イメージを誰もが抱きやすかったからです。従来の建築現場では、CADなどを使って2Dの設計図を作成していました。しかし、2Dの設計図は専門的な知識がないと読み解けません。建築のプロフェッショナルではないクライアントでは難しく、完成イメージを共有しにくいデメリットがありました。BIMによって3Dモデルを作り上げれば、技術力や知識に関係なく、誰でも完成イメージを正確に確認できます。そのため、現場とクライアントで意識のずれが起こりにくくトラブルを回避しやすくなったのです。また、プレゼンテーションや打ち合わせでもBIMは活躍しています。
BIMにはさまざまな機能を実用できる
単に3Dモデルを作るだけがBIMの強みではありません。BIM専用のソフトウェアやシステムにはさまざまな機能が備わっています。たとえば、BIMの図面には工数や使用機器、資材などの詳細なデータを紐づけられます。設計図を作りながら、工期や予算についてもかなり正確に算出できるのが魅力です。さらに、建物の設備に関して、メーカーや品番なども入力可能です。こうしたデータは設計段階だけでなく、メンテナンスや改築のときにも役立つでしょう。
建設に関わるなら知っておきたい!BIMとCIMはどう違う?
BIMとよく似た言葉に「CIM」があります。しかし、両者の細かい定義は異なるので混同しないようにしましょう。ここからは、BIMとCIMの違いについて解説していきます。
土木業界で提唱され始めたCIM
CIMとは「Construction Information Modeling」の略称です。直訳すれば「建築情報の設計」となります。いずれも3Dによって図面を作成し、関係者間で案件のイメージを共有するための技術です。その目的や工程そのものには大きな違いがありません。ただし、BIMが建築業界で使われる言葉であるのに対し、CIMは土木業界で使われる言葉です。CIMは日本独自の考え方であり、海外ではそれほど広まっていません。海外では業界に関係なくBIMという呼称が使われています。
(出典 CIM JAPAN http://cimjapan.com/about/index.html)
それにもかかわらず、日本でCIMという言葉が浸透していったのは、平成24年に国土交通省が提唱し始めたからです。しかし、平成30年に国土交通省は認識を改め、「BIM / CIM」という呼び方で概念を統一しました。令和3年の時点では、どの業界でもBIMでまとめられていることが少なくないといえます。
なぜBIMとCIMに分かれていたのか
国土交通省が業界によって呼び方を変えようとしたのは、作業に微妙な違いがあったからです。たとえば、「不確定要素」の差が例に挙げられます。建築業では、整地を行ってから工事に入ります。つまり、あらかじめ不確定要素が絞り込まれている状態です。予想外のトラブルが少なく、スムーズに工事が進んでいくことも珍しくありません。それに対し、土木業では自然の土地でゼロから作業するケースが一般的です。建築業よりも不確定要素が多く、現場で設計作業の再検討を繰り返さなければなりません。だからこそ、国土交通省は建築業と土木業で設計作業の定義を変えたのでした。
また、建築業界よりも土木作業のほうが、政府の影響力が強いといえます。道路や鉄道、公共施設などは政府主導で進められるパターンも少なくありません。そのため、政府から3次元設計についても指示を出しやすかったのです。しかし、建築業界は民間業者の主導で工事を進めていくことが大半です。業者によってノウハウはまったく変わってくるので、政府主導でBIMを広めるのには限界がありました。こうした時代背景から、業界によってBIMとCIMを使い分けるようになったのです。
ただ、時代とともに建築や設計の技術は発達し、業界が異なっても作業内容に大きな違いは生まれにくくなってきました。平成30年には「BIM/CIM推奨委員会」が誕生し、業界の区別なく3Dによるモデリングを広めていこうとする動きが活発化しています。分野を問わず、3D技術のノウハウがある人材は重宝されるようになってきたといえるでしょう。
BIMとCIMの違いがなくなりつつある時代!若手への期待がかかっている
もはやBIMとCIMの違いはほぼなくなっており、いろいろな業界で3Dモデリングの技術は応用可能になっています。しかし、日本ではBIMに従事できる人材が十分に育ってはいません。BIMの重要性が増してきた時代では、若手にかかっている期待が大きくなっています。建築に関わるうえで、BIMはもはや無視できない技術です。